玉ねぎ誤食について

夜間診療時間に玉ねぎを誤食したとご連絡いただきました。
量は少量とのことでしたが、ご家族様もご心配とのことでご来院となりました。
来院時の意識レベルは清明、活動性良好。消化器症状等も出ておりませんでした。ご家族様と協議の結果催吐処置は実施せず吸着剤の処方をしご帰宅いただきました。

□ 玉ねぎ中毒について
 「ネギを与えてはいけない」ことはワンちゃんと一緒に生活されている方々にとって常識といえる非常に有名なお話かと思います。
ネギ属に分類される身近な食品としてニラ、らっきょう、ワケギなどが挙げられ、いずれも犬に毒性をもつとされていますが、なかでも毒性が問題となるのはタマネギ、ニンニクになります。これら植物を摂取すると赤血球膜やヘモグロビンの酸化により溶血性貧血を引き起こす可能性があります。
ネギ中毒は摂取した食品が過熱処理されていても発症し、犬では1kgあたり15-30g摂取すると中毒症状を発症するといわれています(参考までに玉ねぎ1玉がおよそ200-250g)。しかし体重の0.5%程度のわずかな量の摂取量でも中毒を発症するとの報告も存在するため注意が必要です。

また秋田犬や柴犬は遺伝的にネギ中毒に対する感受性が高いことが知られています。わずかな摂取量であっても油断せず必ず最寄りの獣医さんに相談することをお勧めします

□ 症状
ネギ中毒の症状は主に消化器症状と赤血球が破壊されることで引きおこる貧血になります。消化器症状が初期症状として現れ、摂取後1日から数日後早い場合は数時間後に発症します。貧血に伴う症状は赤血球破壊が進行しなければ発症せず、誤食当日の検査では貧血が確認されることはほぼありません。ニンニクを用いた研究では摂取後9-10日でPCVが最低値になったという報告も存在します。2週間程度であらゆる異常所見は改善することが期待されます。

□ 治療
 ネギ中毒に対する解毒剤や特別な治療方法は存在しておりません。ネギの摂取が明らかであれば速やかに催吐処置を実施し、活性炭の投薬を試みることが推奨されます。またN-アセチルシステインやビタミンC、Eなどの抗酸化物質は、理論的に赤血球膜やヘモグロビンの酸化抑制に有効なのではないかといわれていますが、犬において明らかな効果は不明とされています。