ウサギ(♀)の避妊手術について

ウサギさんに多い三大疾患の一つが「子宮の疾患」であり、避妊手術はウサギさんが長生きするためにも重要です。
なので、当院では積極的に避妊手術をオススメしております。
今回はウサギの避妊手術について、当院で実施している方法も含めてお話しします。

なぜ避妊手術が必要なのか
✔️ 高齢になるにつれて、生殖器疾患の有病率が増加するため
 → 報告では、4-5歳齢での発生が最も多いと報告されています。(Saitoら.2002)

✔️ 予期せぬタイミングでの交配を防ぐため
 →元来、繁殖力の高い生き物です。オスとメスが同じ空間にいる場合、交配する可能性が高いです。
  経験的に、隔離していたとしてもメスを求めてオスが脱走し交配し、妊娠してしまった。ということもあります。

✔️発情に伴う行動の変化を無くすため
 →気性が荒くなる、マウンティングやスプレー、偽妊娠といった行動が発情時にはみられます。
  ウサギ本来の行動であり、異常という訳ではありませんが、飼育下ではこれらの行動で飼い主が困るような状況も
多々あります。
※偽妊娠:妊娠していなくても、妊娠している時のような行動をします(巣作りや毛引きなど)

どんな病気になるの
✔️子宮内膜腺癌最も発生率が高く(子宮疾患の半分以上)、肺や肝臓、骨などに遠隔転移を生じます。
✔️子宮内膜過形成:子宮内膜が嚢胞状に過形成を起こします。放置すると子宮腺癌に進行するとも考えられています。
✔️子宮内膜動脈瘤:動脈瘤が破裂すると、出血多量で急死することがあります。
✔️子宮蓄膿症:子宮内の細菌感染によって生じます。

子宮疾患による症状
外陰部からの出血、活動性低下、食欲不振、姿勢異常、腹囲膨満(お腹がパンパンに腫れる)など

卵巣子宮摘出術について
✔️避妊手術の術式として、当院では卵巣と子宮の両方を摘出する「卵巣子宮摘出術」を実施します。
✔️切開部位を剃毛・消毒し、傷口は臍下を3-4cm切開します。
✔️摘出時には、血管からの出血を最小限にするためシーリング装置(AESCULAP社 Caiman)で熱凝固を行います。そのため、出血を最小限に安全に手術が行えます。
✔️縫合時には、吸収糸や医療用接着剤を使用するため、抜糸は必要ありません
✔️手術時間はおよそ30分程度で終了します。

術後について
✔️麻酔からの覚醒を確認後、エキゾチック動物用の入院舎で経過をチェックします。
✔️術後のトラブルを最小限にするため、抗菌剤・鎮痛剤・消化管運動改善薬などを使用いたします。
✔️一泊入院をオススメしております(要相談にて)

飼育下のウサギさんの寿命は年々長くなっている傾向にあります。寿命が伸びると、生殖器疾患や腫瘍の発生も増えていきます。皆様の大事な家族の健康と長寿のため、生殖器の病気について、知っておきましょう🫶🐰

参考資料
監修: 三輪 恭嗣 「エキゾチック臨床 Vol.20」.学窓社.2022年. P351
著: 赤羽 良二「ウサギの三大疾患 攻略のコツ・子宮疾患」『CLINIC NOTE』2022年. 203巻. P38-52.

全てのウサギさんが幸せに毎日を送れますように😄

つい最近、避妊手術を頑張ったウサギさん(術後の写真です)↓