突然ぎゃん!とないた

夜間・時間外診療を実施しているなかでここ最近多いご相談内容をご紹介いたします。
表題にもある通り、一緒に生活しているワンちゃんが突然ぎゃん!と鳴いた、そのあとからなんとなく元気がないといったご相談を最近多くいただきます。このような症状のご相談をいただいた際に最も多い原因が首の痛み、いわゆる頚部痛です。
頚部痛を呈してご来院いただく患者さんのご年齢は若い患者さんから高齢患者さんまで様々ですが、みなさん同じような症状を抱えご来院されます。以下のような症状がご自宅で認められる場合、頚部痛の可能性があります。

・何もしてないのにぎゃん!と鳴く
・ぶるぶる頭を振る動作が緩慢。あまりやりたがらない。途中で躊躇するようにやめてしまう。
・叫んで突然倒れる。同時に失禁することがある。
・階段を登れるが降りられない
・最近体を触ろうとすると怒る。
・上目遣いで首をすくめている。
・背中を丸めて頭を下げている
・固いものを食べたがらない
・前胸部や肩付近がぶるぶる震えてる

これらの症状が出てる場合でも原因が必ず頚部痛にあるわけではありません。
その他のご病気でも同様の症状が出る場合がございます気になる方は最寄りの獣医さんにご相談していただくことをお勧めします

一般臨床で最も多い頚部痛の原因は頚部椎間板ヘルニアになります。日本国内では小型犬の飼育頭数が多く、なかでもダックスフントやトイプードル、ミニチュアシュナウザーなどヘルニアの好発犬種も人気犬種であり、みなさんの身の回りにもこれら犬種のワンちゃんが多くいらっしゃることかと思います。

ヘルニアという病気は皆さんもよくご存じの病気であるため、首が痛そうだな=椎間板ヘルニアとなりがちですが(獣医師も例外ではありません)、そうではない患者さんも実は多くいらっしゃいます。

たとえば1歳にも満たないような若い患者さんです。典型的な椎間板ヘルニアの発症年齢として2~2.5歳以上が一つの指標となります(もちろん1歳くらいの患者さんでも非常にまれですが椎間板ヘルニアを発症することもありますし、なかでもフレンチブルドックとペキニーズは例外的に1歳くらいの非常に若い年齢でも椎間板ヘルニアを発症することがあるため注意が必要です)。もしも8ヵ月齢や10ヵ月齢といった若齢の患者さんが頚部痛を疑う症状でご来院された場合、椎間板ヘルニアではなくその他疾患を強く疑います。環椎軸椎不安定症、ステロイド反応性髄膜動脈炎、椎間板脊椎炎、キアリ様奇形などが考えられる疾患として挙がるかと思います。

中~高齢の患者さんでは犬種や経過によって椎間板ヘルニアを疑う場合もありますが、なかには若い患者さんよりも怖い疾患が隠れているケースも存在します。代表的なものは腫瘍性病変です。
椎体の骨肉腫、末梢神経鞘腫瘍といった腫瘍性疾患は一見すると歩様異常と場合によっては頚部痛にとどまり、初期であればその他に明らかな症状を認めない場合もあります。発見が遅れることで脊髄内に浸潤し対応が難しくなる場合もあります。

頚部痛の原因疾患の確定診断のためには、多くの場合がMRIやCT検査が必要になるといわれていますが、患者さんの年齢や症状の経過から病気を絞り込むことも可能ですし、レントゲンで簡単に診断ができる場合もあります。
しかしながら治療のためには高度な技術と設備が必要になるケースがやはり多く、我々も歯がゆい思いをすることもありますが、突然の頚部痛で辛そうにしている、ヘルニアの疑いがありそうだがどうすればいいかわからないなど、何か不安なことがありましたらお気軽にご相談ください。